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作者紹介
夕張めろん
 道内の炭坑住宅生まれ。仕事柄道内出張が多く、道すがらに見かけた開拓臭漂う建物をファインダーにおさめるのが趣味。
気が付けば結構な数の、えもいわれぬ写真を皆様にご紹介したく今回出稿しました。

 

第3話

札幌の街はずれ。
魚のうろこを思わせる外壁と、雪の重みで少し潰れたトタンの屋根。
まるでその周囲だけ、時計の針が動くのを止めてしまったかの様だ。
前を通る度、いつも気になっている店だ。
普段は暖簾がかかっているがこの日は休業だった。
かつては多くの人が此処で蕎麦を食べ、茶を飲みそして
会話を交わしていったのであろうが、
街の中心が離れてしまった今、その面影は感じられない。
静かに店を構えるその佇まいは、
さながら余生を送る老人の様だ。
心の中でそっと語りかけてみた。
もしも可能であるならば、
昔の思い出話を一度じっくり聞かせておくれ‥。



(続) 



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