忌々しさの極みとも言うべき雪が消え始め、鳥を見る以外なにも楽しみがない不毛の季節、冬がやっと終わった、
やっと訪れた春にテンションが上がり、肉体的にも金銭的にもツイ無理をしてしまうのも致し方がないことであろう、
そして、時間的にも無理をしてしまう、そんなわけで僅かな空き時間があり、天気が晴さえすれば、
森へ向かう、川へ向かう、海へ向かうのである。
早春から咲き始めるカタクリやエゾエンゴサク等のスプリングエフェメラル(春の儚い命)は確かに魅力的だ、
南から渡ってくるベニマシコやモズも見応えがあって好きだ…
しかしオイラ的に最もこの時期注目してしまうのは、両生類達である、
北海道で広く見られる両生類の種類数は驚くほど少ない、主立った種類はアマガエル、エゾアカガエル、エゾサンショウウオの3種類であり、
その中でも先陣を切って現れ、産卵のために集うのが、エゾアカガエルとエゾサンショウウオである。
『エゾ』と名前につくだけあって、彼らは北海道にのみ生息する両生類である…
まぁ、エゾが名前に付いても本州以南に分布するヤツもいるにはいるのだが…ソレはさておき、
エゾアカガエルとエゾサンショウウオを野外で眺めることが出来るのは北海道に住む者の特典であろう。
エゾアカガエルは早い所では3月上旬から現れ始める、彼らが現れ始めると春を実感する、
しかし、彼らの姿を間近で拝むのはなかなかに至難の技だったりする、
彼らの機動力は高いうえ、警戒心が強く、地面の震動などで人の気配を察すると、
水中にいることの多いこの時期は大急ぎで泥の中などに潜ってしまう…
そのため至近距離での撮影となると、今の時期でも身を切るほど冷たい水の中に手のみならず、
足も突っ込んでの撮影となる、長靴を履けば良いだろうに…と思うのは、素人の早計である、
深い所まで対象を追いかける際は素足にサンダルがベストである…とは言え流石にこの時期は寒すぎるのだが…

反面エゾサンショウウオは警戒心に欠けるのか、意外にのんびりしているので、
その姿を拝むことは、オイラ的にはエゾアカガエルより楽である。
バネやコイルのようにくるくると巻いた螺旋状の卵嚢が特徴的で、
今の時期なら、卵嚢の側で成体がウロウロしていることも少なくない、ちょっと人里離れた所まで行けば、
拝むことはそれほど難しくないと思われる。
産卵場所にゴチャッと集まっている所をしばしば見かけるが、不思議なことに産卵期以外に見かけることは殆ど無い…
なんとも不思議な連中である。
もう少し暖かくなり水が温むと、彼らの産んだ卵が孵る、そしてしばらく時間が経過すると、
この狭い水たまりの中で、食う側と食われる側の関係となり、
エゾアカガエルの幼生達はエゾサンショウウオの幼生達にバクバクと食われてしまう、
そしてサンショウウオ達は、オタマジャクシを食い尽くすと共食いをはじめる…なんだか効率が悪い気もするが、
強い物が生き残るのが自然の摂理、人の価値観では図りきれぬ物なのであろう。
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