本州東北部から北海道、千島列島、樺太などに住んでいたアイヌ民族には、今なお伝えられている独特の文化があります。その一つが民族衣装や日常用具、祭儀の道具などに使用される文様です。
世界には、独特の意味合いを込めた文様を伝えている民族が多数あります。アイヌ文様の特徴としてはモレウ(渦巻文様)、アイウシ(括弧文様)の2つの基本形を組み合わせて、連続した線で結んでいくことにあります。組み合わせの変化のバリエーションは無限にあり、独創性にあふれています。
モレウは川の流れで生じる渦、北国ながらの厳しい風、木に絡まるツタなどからヒントを得てあみだされたと言われています。自然の中に神を見いだしたアイヌ民族ならではの文様といえるでしょう。
アイウシは数学などで使う中括弧と形が似ています。
それら基本形に加え、木彫り特有の文様でラムラムノカ(うろこ文様)というものもあります。
これらの文様は地方によって特徴があり、服を見ただけでどの地方のアイヌかが分かったと言われています。
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