世界一の透明度を誇るカルデラ湖。周囲は断崖絶壁になっており、流れ込む川も無く、登山道はあるものの人が立ち入ることはできない。そのためなのか、今だ世界一級の透明度とその風格は衰えることはなく、幻想的な秘境というイメージを抱き続けられています。摩周湖の水は、天然の雨水と周囲の森林より湧き出る水だけから成る泉なのです。

 

 湖の中にえくぼのように唯一浮かぶ島は「カムイシュ島」。見えている部分はほんの一角で、実は標高240mの火山の頂上部が少しだけ水面上に顏を出している状態なのです。摩周湖の中に火山が姿を隠しているのだから驚きです。カムイシュとはアイヌ語で”神となった老婆”を意味し、カムイシュ島の伝説として残されています。行方知れずになってしまった孫を探す老婆のお話で、今でも人がこの島に行くと、孫が帰って来たのかと嬉し涙の雨や雪をふらせるということです。

 

 摩周湖は高所に位置するため霧の発生が多く「霧の摩周湖」と呼ばれています。観光シーズンの5月から10月の半年間で、摩周湖を1日中望むことができるのは100日程度といわれます。しかしここでは、一寸先が見えない濃霧から急変してすばらしい晴天になることがしばしば起こります。訪れる人々を一喜一憂させる、まさに神秘の湖なのです。

 

冬の摩周湖。木々には霧氷が付き、空中にはダイアモンドダストのように雪の結晶が舞って陽に輝いく様子は冬ならではの光景です。冬期は晴天率が高く、霧で湖が見えないと言うことは少ないようです。空気は澄みわたり、白一色の風景の中に湖面の青さが際立ちます。



摩周湖大展望台より望む夏の摩周湖

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