竹鶴政孝氏が、海と山に囲まれ
た北海道の余市町に理想のウイ
スキーづくりの自然を見いだし、
1934年に竣工したニッカ創業
の蒸溜所。今でも創業時と変わ
らぬ伝統的な「石炭直火焚き蒸
溜法」でモルトウイスキーが造
られています。ウィスキーづく
りの歴史が色濃く残る余市蒸留
所は、平成16年に「北海道遺産」
に認定されました。




 赤い屋根と石造りの工場や貯蔵庫の佇まいが、スコットランドの古城を憶わせるニッカウイスキー北海道余市原酒工場は、1934年に建設され1936年にウイスキー製造を開始しました。
創始者である竹鶴政孝氏にとって、澄んだ空気と良質のピートに恵まれた、この余市町は「ウイスキーづくりの理想郷」でありました。「良いウイスキーは良い自然がつくる」という信念のもと、今も当時と変わらぬ製法でモルトウイスキーが造ているのです。

 

 1998年4月18日、余市蒸溜所に『ウイスキー博物館』が誕生しました。建物はウイスキーが眠っていた貯蔵庫を改装したもので蒸溜酒、ウイスキーの歴史、製法、種類などを展示した「ウイスキー館」とニッカウヰスキーの生い立ちから現在までの歴史を映像やパネル、展示物で紹介した「ニッカ館」の2棟からなっています。特に「ニッカ館」には、竹鶴政孝氏と、彼のウイスキーづくりの夢を共に分かち合った妻リタ夫人の写真や遺品が展示されており、ウイスキー愛好者ならずとも興味惹かれる展示がされています。ウイスキー、そしてニッカウイスキーの歴史に触れることができる『ウイスキー博物館』は、熟成を重ねたウイスキー同様、味わい深い空間と言ってもいいのではないでしょうか。

 

 竹鶴政孝師と、妻リタ夫人が暮らした私邸は1935年に工場敷地内に建てられ、ここで二人は幾つもの苦難を乗り越え互いに励まし合い、竹鶴政孝氏の夢である「本物のウイスキーづくり」を目指しました。この邸宅は外観は洋風なのですが家内には和室が設けられており、和洋折衷スタイルのモダンな造りになっています。
 現在、当時の様子を復元し「旧竹鶴邸」として一般公開されており、二人の当時の暮らしがわかるエピソードが添えられた写真や愛用していた品々が展示されています。

 


 きれいな水、やわらかな空気、気温、湿度。ウイスキーづくりに何より大切な自然に恵まれた余市で造られたウイスキーは、世界中のウイスキー愛好家たちのあいだでも高く評価されています。世界で唯一のウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」が主催するテイスティイングコンテストでは、余市蒸留所のモルトウイスキー「シングルカクス余市10年」が、世界一流のウイスキーを抑え、堂々の最高得点を獲得しました。香水のようなかおり、驚くほどのスムーズな飲み口、そして非常に力強い強烈なフィニッシュ…と有名テイスターやブレンダ−から絶賛され、北海道の余市は”ウイスキーの聖地”としてウイスキー愛好家の注目を集めています。
 この「シングルカクス余市10年」。ウイスキー好きならずとも一度は味わってみたいものです。とても高いのでは…と思わずおもってしまいますが、750mlボトルで8,000円〜12,000円と割と手の出る価格で販売されています。でも「シングルカクス」というタイプは、シングルモルトウイスキーの中でも、特別に選ばれた一つの樽だけで造られた希少価値の高いウイスキーです。もし出合うことができたら、琥珀の美しい色、高貴な香り、豊かな味わいをじっくり堪能してみましょう。 ウイスキーづくりに携わった人々の情熱が伝わってくるかもしれません。

 

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