大谷地恋太郎の地方記者日記

バックナンバー

作者紹介
ペンネーム:大谷地恋太郎
日本各地を転々とする覆面記者。
取材中に遭遇した出来事や感じた事を時に優しく、時に厳しくご紹介します。

(以下は大谷地氏とは関係ありません)

留岡 幸助(1864-1934)
岡山県生まれ。1880年(明治13)、16歳の時にキリスト教信者となり、大学卒業後京都で教会牧師となる。1891年(明治24)に北海道へ渡り北海道空知監獄の教戒師となる。1914年(大正3)には遠軽に児童自立支援施設「北海道家庭学校」を創設、初代校長として指導・監督をおこなった。日本の社会福祉の先駆者。

■地方記者日記132話
 人事
by大谷地恋太郎

 九月一日付の人事異動が内示された。
 私は対象外だった。エッと思った。
 現在勤務している県内では、対象となる記者が何人かいる。本社に上がる人間がいる一方で、地方にまた勤務、という人間もいる。他本社に異動になる人もいる。別会社に出向になる者もいる。五月に定例の人事異動があったばかりだから、県内の顔ぶれはあっという間に一掃されることになる。九月からは私が県内最年長の在籍となってしまう。
 今度県内へ来る人間の顔ぶれも多彩だ。いやな奴の名前もあったりして、つくづくサラリーマン気質だなあと思ってしまう。
 人事異動する人間の名前を見ていたら、いろいろな人間が動くことが分かった。
 それぞれ人間模様があるなあ、と思いつつ、自分の名前がないことにも、ちょっと不思議に思った。もう数年もいるのだぞ。地方の過疎都市に、何年もいても刺激もない。取材対象も変化がなく、新聞記者としての面白みは、ほとんどない。
 しかし異動は苦痛だ。
 人事異動は引っ越しを伴う。夏休みを挟んでの引っ越しとなるから、結構大変だ。休みを取りたいが、赴任先での引き継ぎのため、引っ越す前に一度現地を下見する必要もあるし、このためのカネは自腹だし、引っ越しのため荷物の梱包や清掃、ゴミ出しなど、相当量の作業が待ち構えている。
 数年に一度の転勤は、確かに精神的にも肉体的にも疲弊する。
 せっかく仲良くなった地元の人間とも分かれなくてはならない。温泉も行けなくなる。最近は単身赴任が多くなったから、家族を巻き込んでの引っ越しはなくなった。それはそれでいい。
 私のように、一軒家の構えをした支局に、一人で勤務し、一人で生活している人間は気楽だと思われがちだが、決してそうではない。
 住んでいる場所が広いと、次第にモノが増えてくる。次の引っ越しで狭いマンションに住むとしたら、多くを捨てないとならないのだ。現在のリサイクル法だとか、大型ゴミを捨てるのにもカネがかかる時代。モノは増やさないよう努力はしているが、次第にパソコンが増えてしまい、ハードディスクレコーダーも買ってしまい、と、生活をしていると、モノは増えていくのだ。
 これが本社に転勤になると、さらに車を維持するのも大変だ。首都圏の駐車場料金は高いし、第一、平日は仕事で乗ることはないし、土日も仕事に振り回されると、車を運転する時間などないのだ。大半の人間は、本社勤務になった時に、それまで仕事とプライベートで使ってきた愛車を手放す。仕方ないのだ。
 今回の異動はなかったが、近い将来の転勤を考えて、これからやるべきことはかなりある。パソコンの処分。ディスプレーの処分。壊れかけたベッドの処分。電話機の処分。プリンターの処分。少しずつやっていかないと、突然の人事異動を言われても、困らないようにしたい。
 そういう意味で、今回の異動はなかったのは、ラッキーだったかも。

(続き)



| 全道マップ | 会員規約 | 免責と注意事項 | 著作権とリンク | 広告募集 | お問合せフォーム | ホームページ製作|
Copyright(C) 2002 Hokkaido-club.com All rights reserved.