■地方記者日記133
交通違反 |
by大谷地恋太郎 |
高速道を走らせていた。三車線の一番右側の追い越し車線だ。最初は真ん中を走っていたが、前方のトラックに追いついてしまい、視界がふさがれる形になったので、追い越し車線に変更し、そのまま走らせていた。速度は120キロぐらいだろうか。極端な速さではない。
そんな時だった。突然後を着けるように走っていた後続車が、変身した。
天井部分に赤色灯上がり、サイレンを鳴らされた。最初は何のことか分からなかった。
覆面パトカーだった。ようやく事態を飲み込んで、車線を真ん中に変更した。速度違反だろう。そう思って、そのパトカーに誘導された駐車分離帯で止まった。
安全な場所まで誘導するので着いてきて欲しい。こう言われて、道路とは区分された場所まで走らせて、交通違反切符を切らされた。
ただ、この違反容疑がよく分からなかった。
速度違反ではなく、「通行区分違反」だというのだ。
エッと思ったが、押印した。マイナス1点。違反金六千円だ。国庫に入ることになる。
速度違反ではなくて、助かったといえば助かったのだが、通行区分違反だなんて。
たしかに道路交通法では、片道二車線の場合は左側を、三車線の場合は、一番左か真ん中の道路を走るようにとうたっている。一番右は、あくまでも追い越す場合の追い越し車線で、やむを終えない事情の場合のみ許されている、としている。
だが、こんな法律を条文通り解釈して走らせているドライバーが、どのくらいいるのだろうか。
三車線の高速道を実際に見てみると、速度を上げて走っているドライバーはずっと、一番右を走らせているし、速度を上げないドライバーは左を走っている。要するに交通量が、そうさせているのが実態だろう。
そうなのだ。こんな実態を伴わない法律を適用させることに問題があるのだ。
実際の交通状況を見れば、やむを得ない状態だったので、そのまま私は走っていた、と主張すれば、それはそれで正論だろう。
ただし、ここに落とし穴がある。
現場の県警高速隊の隊員の裁量で、速度違反ではなく、通行区分違反にしてもらった、と解釈も出来る。
検挙された現場で、「通行区分違反ではない」と主張すれば、きっと点数の高い速度違反を適用すると言ってくるだろう。
実は今から十年近く前、この同じ高速道の、同じような場所で、速度違反で検挙されたことがある。
あの時は覆面パトカーではなく、通常のパトカーだった。車内でハウンドドッグの音楽を掛けながら聴いていたら、いつの間にか速度が出ていて、明らかに速度違反だった。
それ以来、高速道の速度違反だけは気を付けていたのに。
同じ場所で、同じ県警に検挙されるなんて、情けない。
さらに言えば、来年の運転免許更新で、今度こそゴールドになるところだったのに。
あーあ。
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(続き)
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