■地方記者日記134
ワンセグ |
by大谷地恋太郎 |
これは使えない、と思った。
最近流行しているワンセグのことだ。特に携帯電話メーカーが競って、このテレビを見る機能の付いた機種を売り出しているが、実際にテレビとしての機能は、とてもではないが、実用化するには問題がありすぎると思った。
たまたま、先日、仕事で使っている携帯電話が、ワンセグ機能がついている機種になった。別に欲しかったわけではない。たまたま備わっていただけだ。
しばらく、ワンセグの機能があることなど無視していた。携帯電話は、基本的には通話をするということが、私の考えだ。シンプルでもいいと思っている。
それがたまたま、時間の関係で、テレビをタクシーの中で見る必要が出てきた。そうだった、私の携帯電話はワンセグがあるではないか、と思い出して、タクシーの中で設定作業をして、テレビの受信を始めた。
しかしなかなか画面に映らない。何回、設定ししても駄目だった。
そのうちタクシーは赤信号で止まった。
するとどうだろう。ようやくワンセグのテレビ機能が動作して、画面にテレビが映った。ふーん。こういうものなのだ、と感心していた。再びタクシーが動き出すと、また画面が乱れて、そして映らなくなった。
その繰り返しだった。赤信号で車が止まると映り、走り出すと画面は映らず、時折、画面がフリーズしたように、動画ではなく写真になって、固まった。
そうか、こういうことだったのだ。ワンセグは移動している最中の受信は出来ない。つまり、車や電車の中で見ることは不可能なのだ。
たぶん、電波の受信は、PHSのようなものなのだろう。動いていると使えない。
そしてメーカー各社はそういうことを知っていて、売り出しているのだろう。
もう一つ、欠点があるのが分かった。
あるメーカーがワンセグを見ながら、風呂でテレビ鑑賞を、と売り出している。
しかし、これもインチキだ。
マンションの風呂では、全く受信できなかった。私は通常の防滴テレビを持っていて、時折風呂場に持ち込んでニュースなどを見ているが、本体に組み込まれただけの短いアンテナだけでは、通常のテレビ機能を持った機械でも、受信状況が良くなくて、画面が乱れる。
ワンセグを風呂で、という発想自体、おかしいのだ。
ここまで来て、もうおわかりだろう。携帯電話のワンセグ機能なんて、所詮オモチャのレベルなのだ。ニュースを見たい、というようなビジネスに活用するには、とても無理がある。こんなものにカネをかけるなんて、なんて無駄な投資をしているのか、と思ったりもする。
要するに、飽和状態の携帯電話市場で、どうやって売り抜けていくか、という発想の延長上に、ワンセグ機能があっただけなのだろう。
この地方記者日記131話でも書いたが、最近の携帯電話は機能がてんこ盛りになり、使いこなすのも大変だ。使いこなしても、機種変更する際の変更作業は、単なる機種変更だけではなくなっている。
便利な機能が、機種変更の際は、不便な機能となっていくのが、今の携帯電話である。
みなさんもじっくり考えてね。
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(続き)
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