■地方記者日記137
外人監督 |
by大谷地恋太郎 |
プロ野球、北海道日本ハムファイターズのヒルマン監督が今季限りで退団することになった。シーズン途中のこの時期に、異例の発表。しかも、成績不振による休養ではなく、プライバシーの問題としているから、プロ野球監督の進退問題としては、珍しい話になっている。
ヒルマン監督は、日本ハムファイターズを昨年優勝に導いた貢献者だろう。個人の成績ばかりを気にする選手が多い中で、情に流されることなく選手の起用をしてきた。エースの金村投手が二けた勝利を挙げられなくなり、監督批判をした時も、報復人事も報復起用もなかった。ヒルマン監督を招聘したフロントは、それなりの作戦勝ちだった。
これがサッカーだと、ひどい仕打ちが待っている。
Jリーグチームで外国人監督が多くなったが、選手がプレーに失敗すると、その選手を全く起用しなかったりする。その監督が長く監督の座にいたりすると、その選手は一年を棒にする。選手生命は短くなる。
雇われ監督ゆえ、選手のその後の生活や将来など考える必要もないから、かなりドライになって選手起用をする。
この点、ヒルマン監督は、外国人監督にはない、日本的な経営センスを持っているのだろう。選手のだれ一人、起用に不満を持たせたことはないのだから。
今年は、ダルビッシュ投手や森本外野手らの成長で、小笠原内野手、新庄外野手の抜けた穴を補って、優勝戦線にとどまっているが、それもヒルマン監督の経営手腕によるところが大きい。
ヒルマン監督は、一方で、日本ハムファイターズが北海道に移転したことを十分に認識していて、地域に溶け込む努力を自らしていた。JR北海道で一日駅長になったり、ファンサービスでギターを弾いたり。日本プロ野球の監督で、こうした努力をしていた人物を、私はあまり知らない。巨人の監督なんか、マスコミの取材に対して、「おまえら、邪魔だ、どけ」と怒鳴る人間が、何人もいた。テレビでは知ることの出来ない態度を直接見てしまうと、巨人ファンであった自分が恥ずかしくなるほどだった。それだけ、巨人はひどいチームだ。こんな、裏があるような人間では、ヒルマン監督はなかった。
で、となると、次期監督はだれになるのか。
日本ハムファイターズ出身者で、指導者として活躍できるような人物は、と捜してみると、意外や、いないのだ。
古くは、大沢、張本らがいるが、とっくに現場からは離れている。
大島は一度監督になったが、成功したとはいえない。
高田も、いまいちだった。
そうなのだ。日本ハムファイターズって、かなり地味なチームゆえに、監督もかなり地味なイメージを持たれている。
かと言って、スターを持ってくる必要はないだろう。
日本のプロ野球の多くは、巨人に代表されるように、選手として活躍したスターを監督の座に据えようとする風潮が強い。王、長島、堀内、原ら、みんなそうだ。ヘタすると、いつかは江川監督という、笑うに笑えない将来だって予想される。
しかし、多くは失敗している。長島しかり、王しかり。
スター選手、イコール、優秀な監督、とはならないのだ。
このことに気づかないで、監督を選ぼうとしている。それがフロントには分かっていないのだ。
だから、日本ハムファイターズはこの同じ轍を踏まないでほしいのだ。
えっ、だったら、新庄監督の誕生かって。
結構、楽しいかも。
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(続き)
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