大谷地恋太郎の地方記者日記

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作者紹介
ペンネーム:大谷地恋太郎
日本各地を転々とする覆面記者。
取材中に遭遇した出来事や感じた事を時に優しく、時に厳しくご紹介します。

(以下は大谷地氏とは関係ありません)

俵 孫一(1869-1944)
島根県浜田市生まれ。現在の東京大学法学部を卒業後官界に入り、1915年(大正4)から1919年(大正8)までの間、北海道庁長官を歴任した。1924年(大正13)衆議院議員総選挙に立候補し当選、以後通算で6期当選。民政党幹事長、商工大臣などを勤めた。

■地方記者日記139
 スマートフォン
by大谷地恋太郎

 携帯電話会社のウィルコムが発売したPHSのスマートフォンを使っていたが、先日、ついに契約を解除した。実に使いにくい代物だった。
 キーボードがスライドして、文字入力が簡単になる、あのマシンだ。
 欠点の第一は、電波が弱くて届かない。私が現在勤務する地方の支局から電話を掛けても、相手の声が「もしもし」と言うだけで、私の声が聞こえないらしい。おいおい、木造住宅だぞ。鉄筋コンクリートの建物ではないぞ。マンションでもビルでもないのに、電波が弱すぎるのだ。
 同社のホームページで確認しても、この地方を完全にカバーしていることになっている。しかし、それは単なる宣伝だけなのか、実際に数カ月使ってみて、カバーしてはいない。看板に偽りあり、だ。電波が届かない携帯電話なんて、携帯電話ではない。PDAに過ぎない。
 第二の欠点。バッテリーの持ちが異様に短い。新しい電池に買い換えて、フル充電しても、二日するとバッテリーがなくなっている。そんなに電話として使ったこともないのに、だ。ウィルコムの携帯電話に限ったことではないのかもしれないが、スマートフォンのバッテリーが、こんなに短いと、実際の仕事に使うのは難しい。各種パソコン雑誌や、パソコン関連のホームページを見ても、かなりの苦情があるようだ。欠点なのだ。
 一年契約だったので、数カ月の解約は違約金が発生するから、一年間は待って解約しようと常々考えていた。しかし、電話として使い勝手が悪いものを持ち続けるだけで、毎月数千円かかるのは無駄と判断した。
 実はこのスマートフォンは、元々会社の同僚が大手電化店で買って使っていたものを、安く譲り受けた。譲り受けた際、その電化店に行き、契約解除をして私との新契約をすることにしたが、その店では契約変更は出来ず、ウィルコムの契約代理店で行った経緯があった。
 その契約代理店に行ってみた。
 何と店じまいしているではないか。
 身代わりの速さというべきか。この業界にはよくある話かもしれないが、利用者は困る。ホームページを見ても、解約方法が載っていない。改めて、別の契約代理店をようやく探し出して、解約した。auの代理店だった。
 店側も手慣れたもので、「はい、そうですか」という感じで、解約手続きを行った。違約金は四千円。ちょっと高いな、と思いつつ、手続きを終えた。
 で、結論だ。
 PHSを地方で使うには、かなり無理がある。全域をカバー、という宣伝をしているが、あれは真っ赤な嘘だ。電波が届かないのだ。ドコモもPHS事業から撤退したのも、そうした背景があるのだろう。都会しか使えない。
 スマートフォンは、PDAに電話機能を移植させて進化させた形を取っている。
 しかし、その一方で、携帯電話も次第に機能がてんこ盛りになり、PDA機能を充実させてきた。次第にスマートフォンのような機能に近づいている。もっと進化すれば、よりスマートフォンに近いものになり、敢えてウィルコムの携帯電話を買う必要はなくなるかもしれない。
 数カ月の契約と違約金は、ちょっと高い授業料になったのかな。

(続き)



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