大谷地恋太郎の地方記者日記

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作者紹介
ペンネーム:大谷地恋太郎
日本各地を転々とする覆面記者。
取材中に遭遇した出来事や感じた事を時に優しく、時に厳しくご紹介します。

(以下は大谷地氏とは関係ありません)

志賀 重昂(1863-1927)
現在の愛知県岡崎市生まれ。札幌農学校4期生。卒業後、オーストリアや南洋諸国を歴訪し、地理学者として「日本風景論」「世界山水図説」等多くの著書を残した。また政治家、政治評論家としても知られ1888年(明治21)には政教社を興し雑誌「日本人」を刊行。表面的な近代化に反対し国粋主義を唱えた。

■地方記者日記143
 正統派デジカメ
by大谷地恋太郎

 予備用のデジカメを買い換えようか、と思い、量販店を回った。
 通常の仕事では、マイカーに積んでいる一眼レフタイプのデジカメだが、普段持ち歩く取材バッグには、コンパクトタイプのデジカメを入れている。
 最近のコンパクトタイプのデジカメも高機能になってきて、いわゆる手ぶれ防止機能が付いていて、シャッターを切った瞬間に起きる手ぶれによるピンぼけを、かなりの割合で軽減してくれる。これ自体非常な便利な装置なので、金銭的に余力があるユーザーは買い換えた方がベターであると思っている。
 数年前のデジカメなら、相手が動いている被写体だと、シャッターそのものが切れなかったり、切ったとしても、全くのピンぼけになってしまっていて、使い勝手が悪かったものだ。
 で、最近のコンパクトカメラを店頭で見ていて、非常に気になる傾向に気づいた。インターネットのホームページでは、商品の紹介コーナーに全く触れていないことも多く、ユーザー、特にプロの人間にとっては、非常に困った話なのだ。それゆえ、結論から言うと、コンパクトのデジカメは、必ず商品を手にして買った方がいいいことを勧める。
 何が問題なのか。
 そう、最近のコンパクトカメラ、あくまでもデジカメについてだが、ファインダーなるものが、カメラの本体にないのだ。
 ファインダーとは、カメラの裏側にあって、目を近づけて、シャッターの切る構図を決める、あのレンズを重ねたのぞき窓である。一眼レフタイプのデジカメには今でも必ずあるのだが、最近のコンパクトカメラには、ほとんど装備されていない。
 メーカーを見ても、キャノンの一部のシリーズに装着され、伝統のように続いているが、ニコンにも、オリンパスにも、パナソニックにも、ソニーにも装着されていない。
 ファインダーの代わりにあるのは、裏蓋の位置に陣取ったデジタルの液晶画面だ。
 これって、僕らプロにとっては非常に使いづらい代物なのだ。こんなことを、よくメーカーの技術陣が気づかないのだろう。
 カメラを手にとって構える。右手で本体を固定して、左手で、レンズ付近を持ちって、ぶれないようにカバーする。これがカメラ撮影の基本だ。
 そのうえで、カメラは以後ののぞき窓であるファインダーに目を近づけてシャッターを切る。
 ファインダーの中は、シャッターを切る自分の世界であり、その構図をどう作っていくかに、写真の世界はある。カメラを目に近づけてシャッターを切るのが、本来の撮影なのだ。
 これがファインダーのないコンパクトカメラだとどうなるか。
 カメラを顔から数十センチ話して、老眼の人間がカメラを除くように撮影する。
 最近は街でよく見かける光景だが、この撮影方法って、ものすごく不安定なのだ。こんな構え方で、写真がまともに撮影できるのか、と思ってしまう。
 顔から遠い分、撮影情報が全部入らない。横から、他人が横やりを入れてきたら、カメラを持った手は、動かされて、撮影チャンスを失する。
 つまりファインダーのない、そして液晶画面だけのカメラは、プロには適さないカメラなのだ。
 さらに言うなら、カメラを離して撮影するため、周囲の人間に、撮影の目的、範囲をばらしてしまうことになる。撮影のヒミツを、簡単に暴露する。これって、プロではない。
 よくこんなカメラをメーカーが開発しているのか、不思議で仕方ない。
 もう一つ。
 液晶画面を常時点灯している、ということは、それだけバッテリーの消耗が早くなるということだ。バッテリーで動かしているデジカメなのだから、撮影時間、撮影の枚数を延ばすのが優先である。
 だったら、液晶画面しかないコンパクトのデジカメは、買わない方が良い。
 その意味で、キャノンは正統派である。

(続き)



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