■地方記者日記144
白い恋人 |
by大谷地恋太郎 |
例のチョコレート事件。賞味期限切れの商品を再度売るという商法もさることながら、やはり連想してしまったのが、サッカーJ2のコンサドーレ札幌のことだ。コンサドーレにとっては大スポンサーであったが、単なるスポンサーの枠を超えて、カネも出すし口も出す、という悪い意味でのスポンサーでもあった。
あの広大なサッカー練習場を提供していたのは、他の貧乏なサッカーチームにとっては羨望のまなざしで見られていた。見学用のスタンドもあり、レストランもあり、連日のようにサポーターが来ては、お目当ての選手の動きを見ている。
これが貧乏なサッカークラブなら、スタンドやレストランどころか、サッカーの練習場確保にすら困るのだ。日々良質な芝の状態で、自由に練習できるコンサドーレは、Jリーグの中でも、かなり恵まれている。その意味で、そのチョコレート会社は、大スポンサーなのだ。
一方で、この社長、結構、選手の人事に口を出していた。
J1からJ2に転落した時、一年でのJ1復帰を誓った時に獲得したブラジル人選手の選定を巡って、クラブ側にかなりの注文を出したのは有名だ。獲得した選手はそれなりに活躍したが、最後は出場機会がなくなり、わずか一年でいなくなった。数億円もの獲得費を使っても、J1復帰は出来なかった。
他のクラブチームが、一千万円の獲得費ですらびびっている一方で、コンサドーレは大判振る舞いをしたうえで、成績は上昇しなかった。
カネを出すが、口も出す、という大スポンサーを持った弊害だ。
コンサドーレは恵まれているのは、チョコレート会社の不祥事発覚で、この社長が辞任し、クラブ側との接点が完全に消えたことだろう。弊害を排除してしまえば、クラブとしては、現有戦力だけでJ1復帰を目指して戦うだけでいい。
この地方記者日記が掲載される段階で、コンサドーレがどんな順位になっているか分からないが、少なくても一位をずっと保っていられたのは、弊害を排除し、純粋に戦ってきたからなのだろう。
あの赤いユニホームに「白い恋人」と大きく書かれたスポンサーの文字も、今は昔、となっていくのかなあ。
来年のこともついでに述べておこう。
J1に上がったとして、今の戦力による戦術、戦略は大幅に変更しないと、J1では恐らく戦っていくのは不可能だ。
今年のコンサドーレは、横浜FCに似ている。徹底して守って、失点を防ぎ、カウンターを狙う。横浜の場合も、徹底的に守る戦術で戦い、失点を最小限に防いで、J1に昇格した。
しかし、せっかく昇格した今年の成績はごらんの通り。全く勝てない。高木監督まで解任されたが、それでも勝てない。J2とJ1では、全くレベルが違うのだ。
クラブ側は、来期の構想も考えたうえで、戦力補強をしていかないと、またJ2に転落する危険性もある。昇格で浮かれないことを期待して試合を見ていきたい。
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(続き)
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