作者紹介
篠原 一之
1968年3月6日生。1990年に4WDショップに入門、1995年には念願の独立を果たしたが、くしくも1999年に4WD業界と自身との方向性の違いに嫌気が差し一時休業…が、今でも頼りにされるランクル乗り兄貴。
現在は札幌で人気のラーメン店「大心」を経営、3人の子持ちの4駆好き、前田吟似の親父。
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第4話:つるむ事の意
四駆仲間! とても大切な存在! 同じ趣味を共感できるとても大事な人間達である、ところがこの仲間達、一般の視覚から見ると可成り個性が強い。
そして自分自身に可成りの自信を持ち仕事に社会に一人一人立ち向かって生きている。そしてそんな彼等達が何らかの形で集まると必ずぶつかり合う、四駆スタイルについての討議が始まり車の批判、評論、仲間への批判、評論、ショップの批判、評論!
例えば何処そこに通ってる誰々があんな車に乗っててあーだとかこーだとか!同じ趣味を持つ仲間は良きライバルであり時には最強の敵に替わる。個性が強い人間達はぶつかり合うと可成り強いエネルギーを産み出す! そしてそんな彼等が見事一つになりとてつもないエネルギーが生まれる場所がある。それが『山』である!
山は天候の変化で時にはとんでも無い道を作り上げる。普段なら何の変哲も無いただの林道をまるで台風が通り過ぎ去ったかの様に道路は崩れかけ泥濘地帯に変化を遂げる。そんな自然の脅威であろう場所に遭遇すると自分達の中にムズムズと自然への挑戦が湧いてくる。
一人では陶然立ち向かえ無いであろうこの荒れ果てた地形を、この個性の強い仲間達ならば一緒に克服できるであろうとお互い無駄な言葉も一切交わさず立ち向かい、体中泥だらけやずぶぬれになりながらも今自分のやるべき事そして適格な判断力を求められながら、只々黙々と仲間の車をリカバリーする。
その時仲間の車の能力やドライバーの技量は問わない、前に進める為にはライン取りやアクセルワークを適格に伝えあい、難所を見事通過出来た車両のライン取りや痕跡を解析し車種の違う自分の車に置き換えて、自分なりのライン取りを見つけだす。
そして仲間のサポートを借りながら、無事その難所をクリアーして初めて小さな自然への克服感を感じながら、すぐ様後ろから来る仲間のサーポートに入る。
クロカン中は常に色々な事を考える。このポイントで車が脱出出来なかった場合は車のバンパーでその車を押せるか?、牽引ロープで引き上げる事が出来るか?どのアングルでどの木を使ってウインチングのラインを取るかなどあらゆる事を想定しながら一行を前に進める。『遊び』では無く誰しもが『本気』なのである!
クロカンで学ぶ事、それは『敵』とは他人では無く自分自身の弱い心だと知らされ、これを乗り越えるには仲間の支えが必要であると自然の教訓から教えられる。
正に人間一人一人の力の弱さを心底思い知らされ自然への偉大さと尊さに気が着く事であろう。『つるむ事の意』とは人間社会そして自然界においても必要である事は違いはない。
(続)
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